私が次の言葉に困っていると、何やら健太さんが慌て始めた。
「ちょ、ちょっと待って。
タイミング最悪な時に……真野さんのことになると、んっとに。」
突然席を立った健太さんがどこかへ行ってしまった。
どうしたんだろうと心配しているとバツが悪そうな顔をした人を連れて戻ってきた。
それはまさかの橘さんだった。
「橘さん来るの遅いっすよ。
俺、帰ります。」
「え!健太さん!!」
「橘さんへの誤解を解いてあげて。」
「誤解……って。」
軽快な足取りで去っていく健太さんを恨めしげに見送った。
この重苦しい空気の中で橘さんと2人にさせられても………。
呼んだのは健太さんだろう。
同志だと思っていたのに、なんだか裏切られた気分だった。