「今日はどうされました?」

 にこやかに微笑む如月先生の顔が見られなくて俯いて口を開いた。

「薬の、、副作用が知りたくて調べてみました。」

「そうでしたか。」

 それ以上、如月先生は何も言わない。

 聞きたいのに、問いただしたいのに、口からなかなか言葉が出せなくて絞り出すように訴えた。

「偽薬……なんですか?
 薬じゃないんですか?」

「そうですね。」

 当たり前のように言われて拍子抜けした。
 まるで私が動揺して大騒ぎした時間の方がおかしいみたいに感じてしまう。

「説明、ありましたか?」

 震えてしまいそうな声をなんとか絞り出す。

「いいえ。
 しかし万が一の為に頓服として、きちんとした薬も一緒にお渡ししています。」

「それは、そうですけど………。」

 そういうことじゃない。
 そうじゃなくて……。

 手に力が入って膝の上でスカートごと握り締めた。

「騙したってことですか?」

 まさかあれほど信頼していた如月先生にこんな言葉を向ける日が来るなんて。