「橘さん。」 呼び止められて出て行こうとした体を止めた。 「このような詮索をして何の意味が?」 何も言い返せなかった。 真野に隠れてこそこそ調べるような真似……。 自分に嫌気がさして「失礼します」と頭を下げた。 「原因を、ご存知ですか?」 「……原因?」 意味深な物言いに振り返ると如月はパソコンの方へ体を向けていて、こちらを見ずに言った。 「いえ。なんでもありません。」