あなたが居なくなった日。


「すー。はー」

大丈夫。

何も怖いことなんてない。

「すー。はー。……よし」

心を決めて練習室のドアを開ける。

「やあ、久しぶり」

「あ、うん。久しぶり」

「元気だった?」

「それは……」

そこに、新田くんは居た。

これまで見てきた彼と寸分違わぬあの微笑みを浮かべて彼はピアノの椅子に座っている。