あなたが居なくなった日。


(逃げられない)

そう思った。

「おはようございます……」

「うん。いい子」

渋々それを口にすると新たくんは満足したのかふわっと手のひらを離し私の顔面を解放した。

「でも気をつけないとダメだよ?

人が話しかけてるのにガン無視は良くない」

「何しにきたの?まあちょうど良かった。待ってね」

私は新田くんの説教を無視してカバンの中をゴソゴソと漁る。

「はい。約束してた譜面。これで私の役目はおしまい」

「わあ、ありがとう。でもまだまだ役目は残ってるんだなぁ」