「身体がもたないぞ。
特にここではな。」
身体からは煌々と赤い光が放たれているというのに、
目の前のこの男は、いや、ここの誰もが乙女だから隠さなくてはとか、ましてや特別扱いすることがない。
ただ、自由にしていればいいと言う。
そのことに、カティナはあっけにとられていた。
現に、カティナは一団の男達と同じ広場に、たしかにこの赤獅子の守護者だと名乗ったこの大男の横にではあるが、閉じ込められることもなく座らされている。
破れた子供用の服の代わりに、今は男物の服の中から見繕って与えられていた。
だが服装などカティナには気にならなかった。
気になることはー、、
「ひと口でいい。腹に入れろ。」
手のひらに半ば強引に載せられた果実は、たわわになった実りが豊かで、ぱんと張った実は瑞々しそうだ。
男は、ぱつんっと音を立てその実をひとつ摘むと、
それを自分の口へ放り込んだ。
さも、安全だと示すように。
それに促され、ようやくカティナも一粒口にしてみる。