「かぶの時期も、もう終わりですもの。それに、今日のスープにはソーセージを入れるわ」

「ソーセージ? どうしたのですか?」

「ランディのバイト代。肉屋の帳簿付けしたら、現物支給でくれたのよ」

 ランディは、アディの弟だ。頭脳明晰な彼にとっては、小さな商店の帳簿付けなど朝飯前だろう。

「さすがですね、ランドルフ様」

 ぱちぱちとスーキーが手を叩いた時、その店の店主が二人に気づいて声をかけた。

「どうだい、アディ。今日のキャベツはいいだろう」

「ええ、とても見事ね。私にはもったいないから他の奥様に売って差し上げて? 私は、こっちのかぶを全部いただくわ」

 アディはそう言って、箱の中に数個入っているかぶを指さした。

「へえ、全部買ってくれるのかい?」

「ええ。もちろん、箱の底に入っているのまでね。半分腐っていたんじゃ、私の他には誰も買ったりしないわよ。だからまけてくれる?」

 それを聞いて、店主はがははと大声で笑った。