「おかえりなさい、しーちゃん」

家に帰ると母親がいた。

『しーちゃん』というのは私のことだ。

「しーちゃん、今日はテストの成績表が返ってきたんでしょ?
早くお姉ちゃんに見せてちょうだい」

母親にとって私は妹の生まれ変わりなので、私がいるとき母親は自分のことを『お姉ちゃん』と言う。

「…」

私は、黙って成績表を母親に渡した。
母親が成績表をじっとりと見つめる。

その間も、私はずっと黙っていた。

母親の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。

「しーちゃん、どうして!?
しーちゃんはもっと成績が良いはずよ!
なのに、どうしてこんなに悪い点数ばかりなの!!
昔はそうじゃなかったじゃない!」

母親が私の胸倉を掴み、耳元で叫んだ。