美波はしばらく黙ったあと、

「じゃあもう行くね」

と言って中庭から去っていた。

私は、しばらく中庭でぼーっとしていた。

どうして、唯は私から離れてしまったんだろう…。
美波が離れるのはわかる。
だって、美波は唯のことが苦手そうだったから。

でも、唯は美波こと苦手そうじゃなかった。
少なくともそんな風には見えなかった。

なのに、どうして…。

「きゃああああああああああ!!」

私の考えは、校舎から聞こえてきた悲鳴によって遮られる。

「なにごと?」

私は、悲鳴があったほうへ行ってみた。

そこには、うずくまる唯とそれを囲むように何人かの女子達がいた。

女子達は「大丈夫?」「保健の先生よんでくるね!」「しっかり!」と唯に声をかけている。