その週の土曜日。

「なあ、どうして誰も俺の才能に気付かないんだと思う?」

俺の家に遊びに来ていたリンに、ふとたずねてみた。

「うーん、だって下手くそなんだもん」

リンも、俺の音楽の才能に気づけない人間のうちの一人だったようだ。
誰も、俺の才能を認めようとしない。

くそ…どうしてだよ!
俺には、こんなにも才能があるのに…。

そうだ、細井に聴かせてみせよう。
あんな地味女が、俺のギターに理解を示すかは謎だけど…。

月曜日の放課後、俺は細井を教室に呼んだ。

「見せたいものって何?」

「これだよ」

「わあ、ギター!大田君、ギター弾けるの?」