「ええっ、細井と付き合うことになったの!?
信じられない!!

私のことはどうなるのよ!?」

さっきまで俺の部屋だというのに自分の部屋のようにくつろいでいた柳(やなぎ)リンが、キンキンとした高い声で俺を責め立てる。

「あのときはそうするしかなかったんだよ。
まさか泣くほど喜ぶなんて思わないだろ?

もちろん、俺の本命はリンだけだよ」

「じゃあ、細井のことはどうするの?」

「まあ、タイミングを見計らってフるよ」

「なぁ~んだ、よかった!
でも細井さんかわいそ~(笑)」

と言ったはいいものの…。

俺はなかなか細井と別れられずにいた。

「大田君、お弁当つくってきたの、一緒に食べよう?」

「大田君、喉渇いてない?なんか買ってこようか?」

「大田君、大田君」

細井はかなり俺に惚れこんでしまったらしく、やたらと俺に優しく接してくれるのだ。