｢彼氏がちょっと優しいからって、調子乗りすぎだよねぇ｣

そう言って、奈々は自分が頼んだケーキのいちごをフォークで乱暴に刺し、口に含ませた。

｢ねー！
なんていうか、彼氏がいい人なのを自慢されても、お前は全然いい人じゃねーし、てか釣り合ってねーし(笑)｣

｢だよね、彼氏君もなんであんな子好きになったんだろうね？

ワガママだし、いっつも一番高いもの頼むくせに割り勘しよって言うし｣

｢ほんとほんと！｣

ガチャッとトイレの扉が開いた。

｢お待たせー！｣

｢お帰りー！｣

｢早かったねー！｣

さっきと態度から一変、二人はニコニコと笑って里津に対応した。

｢あ、奈々のケーキのいちごもう食べたの？
普通いちごは一番最後に食べるものでしょ〜！｣

｢ええ〜いちごは途中で食べるのが一番美味しいって！｣

｢ありえなーい！普通は一番最初でしょ〜！｣

真美と奈々の会話はまるでなかったかのように、三人は再び楽しくお喋りを始めた。