｢まさか加賀美が殺されるなんてな｣

同じ吹奏楽部の部員、松川（まつかわ）君が言う。

｢そうね…｣

と私は答える。

私達と同じ吹奏楽部に所属していた加賀美君が、彼のクラスメートの白鳥(しらとり)という女に殺された。

というより、無理心中だったらしい。

彼女は加賀美君の家に不法侵入し、彼を殺した後自殺したのだ。

私は、前から加賀美君がストーカーのことについて相談を受けていた。

もっと、彼に何かしたやれたのではないか。
もっと、何かできたはずなのではないか。

｢そういえば、白鳥の家から日記が見つかったらしい｣

｢日記？｣

｢ああ。

どうやら白鳥は、自分と加賀美が付き合っているんだと思い込んでいたらしい。

最初は付き合っているという〝設定〟で日記を書いてることを理解してたらしいんだが、

書いていくうちに段々自分が本当に加賀美の彼女なんだと錯覚していったみたいだ｣

｢そう…｣