ハイド・アンド・シーク


何度かキスをして、見つめ合う。
もう、前みたいに彼女は目をそらしたりはしない。少しはにかんだように笑って、目を瞬かせる。

ゆっくりと森村さんの手が俺の首に回ってきて、それがサインみたいになって深いキスをした。

合間に、テレビと電気を消しませんかと言われ、たしかにバラエティー番組をBGMに彼女を抱くのは嫌だなとリモコンで消した時、ぼそっと森村さんがつぶやいた。

「PR動画、越智さんが出演すればいいのに」

また、越智くんの名前。
モヤッとした気持ちが生まれて、それが顔に出そうになった。

「…………森村さん、さっきの話」

「さっきの話?PR動画?」

「違う。ご飯食べてた時の、嫉妬心がどうのって」

ソファーの上で抱き合いながら不思議そうにこちらを見ている彼女に、俺はなるべく声に感情を出さないように気をつける。

「ちゃんとあるよ、俺にも」

「え?」

「嫉妬心。人並みに」

「………………それは」

言いかけた彼女の唇をふさいで、抑えがききそうにない欲をぶつける。少し苦しそうに眉を寄せる森村さんは、話についていけてない様子だった。

─────引くかな、さすがに。

結局、理性が働いて顔を離して、正直に話すことにした。


「……じつは、越智くんがまだ君に好意を持ってることを本人からこの間聞いたの。あまり気にしないようにしてたけど、俺も人間だから、ついイライラしてしまって─────」

「…………イライラすること、あるんですか」

「……あります、一応」

「ふふふ」


なぜか森村さんは満面の笑みを浮かべていた。