「大丈夫です」

大丈夫そうじゃない顔で、大丈夫と応える。

「伊藤さんの場合『大丈夫』じゃなくても、『大丈夫』って応えるから
心配なんです。」

そういうと、ゴミを拾うふりをしながら

「今日は早く帰れるから、部屋いて」と耳打ちをした。

別にメールをすればいいことなんだけど……

あの『学校が卒業になるから、淋しい』と言った日から

千尋は今日まで、顔を出していないのだ。

真っ赤になる千尋に

「充電完了。」と告げる。

バイトに行くと言っていたから、あまり気にしてなかった。

新学期が始まり、忙しくなる俺を気づかってだろうと……。

でも、今朝の顔を見て決めた。

久しぶりに悩みを聞かないとマズイ。

何かを、ため込んでいる。