レポートをだして直ぐに教室をでた。

担当の佐藤(さとう)先生には遅刻して入ってきたことがバレていた。

「隣、誰?彼女?」

「違います。今日初めましてですよ」

「珍しく授業中に表情筋が動いてたなって」

「…先生も奥さんと仲良く」

と、会話を適当に終わらせてきた。

今日病院に行こうと思って。

早めに行かないと混んだら嫌だから。

今日のは1、2限連チャンで入れてたから今は12時前くらい。

お昼にでもするか。

大学内のあまり人が来ないような喫茶店へ向かう。

たまにここで料理作らせてもらったりとか。

簡単なバイトを。

本格的にバイトしなよって言われたこともあるけど、病院あったり、不定期に調子悪くなったりするから、バイトは不向きだ。

ドアを開けると、ベルがチリンチリンと鳴る。

「よ、穂積さん。いらっしゃいませ」

「あ、今日は誰もいない」

入ると直ぐにバイトリーダーの成田遥人(なりた はると)が迎えてくれた。

遥人は同じ1年生だけど浪人してたから1個上。大学からの友達。

1人カウンター席に腰掛ける。

「んーと、カフェモカとカニのトマトソースパスタ。食べたい」

「いつものね、了解」

「今日午後から?」

「ううん、入れてない。サークルだけ」

なるほど、と思い水を口にする。

遥人は慣れた手つきでパスタを炒めていく。

「何で料理こんなに上手いのに彼女居ないんだろうね、俺」

自分で言うか。

確かに、1年生でバイトリーダーやってる程の上手さは保証するけど。

「最近は女子で料理男子とか流行ってそうだけど、違うんだ」

その時だった。