「これ、珍しい団子なんだってな。」

「そうでもないですよ。地元では有名です。」

「この辺りじゃ、売っていませんね。」

「残り一つとなると、食べてみたい。」

 この場に四人いるが、用意された団子は五つ。それが一つだけ残っていると、やはり、欲しくなる物である。

「スイーツを食べるのは、女の子の特権ですよ。」

「世の中、そんなに甘くない。それに、これは和菓子に分類されるだろ。」

「誰が言い出したんだ、そんなこと。特権だと言うのなら、やってみろ。」

 店長がウェイトレスを制し、先輩は彼女の右腕を掴んで止めている。いい歳をした大人達が、何をやっているのだろう。