「ん?」 そんな風に言われたら、断れないよ。 「なんだか私、あなたの抱き枕みたいです」 わざと不満そうに顔を顰めると、椿社長は優しく目を細めて「それ、いいな」と笑ってくれる。 だからその笑みに騙されるように、私は伸ばされた手を掴んだ。 一緒に甘い物を食べに行く相手がいるくせに。 寝室に向かうその背中に、私は心の中で意味のない悪態を吐いた。