「その前にCM曲をきっちり納めないとな?」


『うぐ。…そうね…OK出ればね…。』


中々OKが出にくいのがCMなのです。


事細かく決まってるし。


『…まあ北海道でだいぶ組み立て出来たからいいや。すぐ終わるよ。』


「学校の課題は?」


『ふふふ。そのための一週間は残してある。』


「うん、だよなー。」









『戻ってきたよ!私!』


ということでね。


早速学校ですよ、ええ。


秋は保健室ですよ、ええ。


一応保健医なんでね。


どこかレッスン室空いてないかな〜って思ったんだけど、


まさかのどこも空いていないというね。


1階と2階がレッスン室だから、合計80室はあるはずなのに、それが全部埋まるというね!


みんな練習熱心だね!


人数が多いからアレだけど。


だから音楽室空いてないかな〜って思ってるんだけど、


音楽室も空いてないっていうね。


なにこれ最悪じゃん。


もうね、神様がゲームしろって言ってるよね。


『よし、ゲームしに保健室戻ろう!』


「あ、ゆきさん。」


『あ!透先輩!それに桃李先輩。お疲れ様でーす。』


「…今からレッスン室か?」


『あ、目敏いですねぇ。後期の実技中間試験の副科ピアノの課題曲です。』


「随分早いね?」


『9月10月は多分忙しいので、今のうちに完璧にしておこうかと思いまして。』


「確かに、僕らもちょっと忙しいんだよね。芸術祭が11月で、中間は10月だから。9月の間に色々と準備しておかないと…。」


「…そうだな。」


『生徒会、忙しそうですね。』


「そうだね。でも楽しいよ。」


うん、楽しそう。


私は絶対やらないけどね。


「それで、何の楽譜だ?」


『お、桃李先輩が珍しく興味湧いてる。…えーと、ベートーヴェンのピアノソナタ、第14番、cis moll、Op.27-2です。』


「…“月光”か。」


『はい!通称“月光のソナタ”です!』


「ああ、ベートーヴェンの三大ソナタと言われている一つだね。」


『まあ全部弾いちゃうと15分以上かかっちゃうので、終楽章(第3楽章)だけですけどね。』


「それは自分で選んだの?」


『いえ、担当の先生に決めてもらいました!…あー、でも今レッスン室空いてないんですよねぇ。』


「音楽室は。」


『埋まってました。』