『つかなんで秋がここにいんの?おかしくね?秋が保健医とか務まるわけないじゃん。』


「お前…今すぐここから出てけ。」


『やっだー。』


「ハァ…。」


『つーかさあ、秋。なんでデビューしなかったの?すれば良かったのに。天才だーって騒がれてた癖にさあ。』


「…ああ?」


秋は大学の音楽学科のヴォーカリストコースで、


大学内の首席で卒業してる、超天才ヴォーカリスト。


『卒業コンサートとかヤバかったよね。特に女。』


「…俺も一生忘れられねーよ…初めて女が怖いと思った瞬間だったわ…。」


『ホント、なーんでコッチ来ちゃったんだろうね。マジで。』


「よーく考えても見ろよ、ゆき。…妹の授業態度が悪い、妹が提出物も出さない、妹が授業をすっぽかす…よーく考えてみろ?よーく胸に手を当てて考えてみろ??」


『うーん、胸に手を当てても特に思い当たらないわあ。』


「そーゆーと思ったわ…。」


『つか、怒らない教師が悪い。』


「お前…見放されてるとか思わないのかよ。」


『思わないねぇ。だって私、超がつく天才だし。』


「…自意識過剰だ、バカ。」


『ぐおっ…いきなり頭撫でんなよ…ってえ!!!!ktkr!!!やっば!!激レアカード来たァァァァァ!!!!』


「お、マジかよ。…って、それ限定版じゃねーかよ。…ゆき、お前…今月いくら課金しやがった…。」


『大体…30万かな☆』


座右の銘:激レアガチャは出す(廃課金)。


「お前のバイト代高くね!?!?どこでバイトしてんだよ!」


『秘密。大丈夫大丈夫、全然危なくないから。』


「…ハァ…もうお前の兄貴疲れた…。」


『頑張れ!我が兄貴!!私を頑張ってお世話して!!』


盛大なため息をつかれた。


「…オラ、そろそろ授業じゃねーのか。」


『あ、ホントだ。…うわー、メンド…。』


「ちゃんと全部の授業に出たら、幻の青いカードをさずけよう。」


『よっしゃ頑張る。じゃ、またね!秋!』


「おーう、頑張れよ、ゆき。」









『あー…授業メンドい…ああああ…。』


てかそもそもここ広いんだよ…。


あと階段しかないってのも辛いよね。


全自動で私を教室に届けてほしい。


いやマジで全力で言うけどさ、4階に行くのがホントに辛い。


これを頑張って一年間登ってきたけどさ、


いい加減、辛い。


『…そうこうしている間に授業時間が迫ってくる…よーし、覚悟して登r』


「あ。」


ドサドサドサッ


『うぎゃっ!!!』


上の階から本の束が降ってきた。


そしてほぼほぼ全て私に直撃。


『痛…痛すぎる…。』


「あ、あの…すんません、俺…」




『これはもしかして授業に行くなという神からの暗示だな!!?そうだ!それだ!!』




「…すいません、頭大丈夫ですか。」


『え?大丈夫大丈夫。』


「…言い方間違えました、頭のネジ、大丈夫ですか。」


『大丈夫ー!』


「…落としてすいませんでした。じゃ、これで…」


ドサドサドサッ


「……。」


『…私も一緒に持っていこっか。』


「…すいません。」


これが彼との出会いだった。