「まじかあ」
樹里は苦い微笑みを見せた。
「ひとを振り回してることに気づいてないよね」
「気づいてない、全然気づいてない」
「まじで痩せたいっつってんのにさあ、自分は太らないからってケーキケーキって」
「あたしだって今日は映画がよかったんだよ」
誰かを糾弾するときは、勢いがついて止まらないものなのだろうか。
レジの進み具合をちらちらと気にしながら、あたしと樹里は雑貨屋の隅で欠席裁判をする。
「千代子も理不尽だよねえ。のばらに真似ばっかりされてるのに、のばらの方がモテるし」
忌憚のない言葉に、ぐさりときた。けど、本当のことだ。
あたしだって今日、のばらと色違いのインド綿のワンピースを着ている。コーラルのリップだっておそろいだ。けれどもちろん、誰からも振り向かれない。
まるであたし、のばらの醜悪なレプリカみたい。
「どしたの、ふたりして」
後ろ暗い話をしている雰囲気に気づいたのか、亜由美が怪訝な表情で寄ってきた。
あたしと樹里は顔を見合わせ、小さくうなずき合う。
「夏休みさあ、3人だけで遊ばない?」
ずっと考えていた台詞を口にするとき、声が少し震えるのを感じた。
樹里は苦い微笑みを見せた。
「ひとを振り回してることに気づいてないよね」
「気づいてない、全然気づいてない」
「まじで痩せたいっつってんのにさあ、自分は太らないからってケーキケーキって」
「あたしだって今日は映画がよかったんだよ」
誰かを糾弾するときは、勢いがついて止まらないものなのだろうか。
レジの進み具合をちらちらと気にしながら、あたしと樹里は雑貨屋の隅で欠席裁判をする。
「千代子も理不尽だよねえ。のばらに真似ばっかりされてるのに、のばらの方がモテるし」
忌憚のない言葉に、ぐさりときた。けど、本当のことだ。
あたしだって今日、のばらと色違いのインド綿のワンピースを着ている。コーラルのリップだっておそろいだ。けれどもちろん、誰からも振り向かれない。
まるであたし、のばらの醜悪なレプリカみたい。
「どしたの、ふたりして」
後ろ暗い話をしている雰囲気に気づいたのか、亜由美が怪訝な表情で寄ってきた。
あたしと樹里は顔を見合わせ、小さくうなずき合う。
「夏休みさあ、3人だけで遊ばない?」
ずっと考えていた台詞を口にするとき、声が少し震えるのを感じた。



