黎祥の正論といえば正論で、無茶苦茶といえば無茶苦茶な言葉に、
「蛙の子は蛙か……」
と、頭を抱えた祥基。
「美味しいですね」
「だろう?翠蘭に食べさせたかったんだ」
一方で、当の夫婦はこの空気は素知らぬふりで、仲良さそうに、食事中。
「……毒とか盛られても、俺らは知らないからな」
正直、龍神の加護があるから、特に問題は無いのだが。
祥基はどこ吹く風な黎祥の態度を見て、もう何言っても無駄だと悟ったのか、溜息をつきながら、
「まぁ、何やかんやあったが……」
椅子に腰をかけて。
「おめでとう」
柔らかく、優しく笑って祝ってくれた。
「……ありがとう」
翠蓮は祥基に自分の本当の両親のことも、あったことも、ある程度話した。
皇宮や後宮でのことは話しちゃいけない決まりだけど、祥基にだけはと黎祥や先々帝に相談すると、許可を貰えたのだ。
それもこれも、祥基のさっぱりでちゃんとした真面目な性格のおかげだと思う。
「黎祥、お前、俺の幼なじみを泣かせんなよ?一応言っておくが……翠蓮、お前もいつでも帰ってこい。喧嘩とかしたら、ここに逃げ込めばいい」
「そうねー。後宮を抜け出すことは重罪だけど、死ぬくらいならそうする」
黎祥のそばにいる限り、そんなことは無さそうだけども。