「……自らで、終わらせたんですね」
「そうだな。―佳音は先帝に見つけられて、無理やり、妃にされそうになった。既に憔悴し、弱体化していた佳音は逆らう術も意思も無く、運ばれて……そこに、明鈴が……」
「明鈴?」
「明鈴の姉の葉莉玲を殺したのは、先帝の母、湖烏姫だったらしい。それをどこで知ったか、明鈴は復讐のために入宮してきて、先帝のお手付きになった。先帝のそばに控えていた明鈴は先帝を嫌ってはいたが、可哀想な人だと同情はしていたらしい。それで、まぁ、先帝が死んだ後に双子を産んだんだが……あとは、お前の知る通り」
「でも、佳音さんが先帝に連れさらわれてからすぐ、黎祥が乗り込んだ訳では無いのでしょう?やはり、先帝とも佳音さんは関係を持っていたの?」
それはそれで、佳音さんが不憫すぎる。
知らない世界に来ただけでは飽き足らず、それでは……。
「いや、だから、明鈴が留め具になっていたんだよ。留め具になって、佳音が辛い目にあうことを防いでいたらしい。明鈴は佳音の世話をしながら、復讐の時を狙って、先帝の寵愛を受けながら、円皇后の恨みもひきうけて……佳音は最終的に正気に返ったが、そこで革命だ。逃げる間もなく、先帝の執着心により殺され、円皇后はそれを見て、一目散にどこかに去ったらしい。私は寝室に乗り込んで、先帝を討った。ともにいた女は顔は覚えていないが……今思えば、その女が明鈴だったのだ」
明鈴はずっと、奔走していた。
姉の復讐のための入宮だったにも関わらず、先帝死後もこの場所に留まって。

