手を汚したのは、私ではない。
でも、"そういう状況”を作り上げたのは私。
皇帝の妃達が死ぬように、裏で宦官に手を回した。
とある妃に、毒を渡した。
先々帝の妃達が恨みを晴らせるように、きっかけを作った。
栄貴妃が復讐できるよう、場を整えた。
―私がしたことといえば、あの日、先々帝の妃の1人であった尹賢太妃を傷つけたこと、それくらいではなかろうか。
「……それで、お前は何がしたかった?」
皇帝に、尋ねられる。
「さっきは姉のように、翠蓮がならないように……と言ったな」
「……」
「そのために、儀式中の私を襲ったのか?―いや、正確には、翠蓮を、か」
「……」
「こんなことをしても……姉は還ってこないと、分かっていただろうに」
そうだ。そのとおりだ。
わかっていた。
姉様はもう、還ってこない。
二度と、会えない。
首を吊って死んだのも、姉の意思。
そこに彼らは関係ないことも。
でも、止めて欲しかった。
姉は、唯一の味方だった。
愛してくれた人だった。
だから、私も愛してた。
彼女がいなくなってしまったら、私は一人になってしまう。
それを恐れて、けれど、結局失って、そこで考えてしまったのが、いけない事だったか。
考えなければよかったのか。
姉がどんな人生を送ったかなんて、知らなければ……こんなことにならずに、私は。

