「全て、兄上にはバレていたんだよ。兄上は、蘇貴太妃の為に、何も話してはくれなかったけれど」


「……」


分かっていた?全て??


分かっていて、わざと放っておいた?


どうして??


全部、自分を育てた恨んでいたはずの母親の為に?


それだけの、ために?


「お前が、私の妃たちを殺した理由も……父上の妃たちに火種をまいた理由も、私の弟妹を傷つけたのも……強いて言えば、翠蓮と私が出会った日、私に刺客を向けてきたのも……全て、お前だろう」


あの皇子が知っていた、ということは……蘇貴太妃亡き今、それを黙っている理由もないわけで。


「私のことを憎んでいるんだろう?憎んでいないと言葉では言いつつも、私が王であることをお前は納得していないんだろう?姉を殺した、私たち皇族のことを全てを恨んでいるんだろう?助けなかったことに関しても、見知らぬふりをしたことに関しても、お前の姉を忘れて、笑っている私たちが気に入らないのだろう?」


―その通りだった。


ハッキリと、言われて自覚する。


自分は、そうなのだ。


それに腹が立っていたのだ。


だって、おかしいじゃないか。


幸せと言いながら、笑わなかった姉。


栄貴妃の父親の悪事とか、調べていくうちにどうでもいいことばっかり露見して、誰もがいろんな人に恨みを抱いていて、それなら、少しくらい、手を出しても……と。