【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―




「憎らしい!どうしてっ、どうして―……」


媽妃の手が、伸びてくる。


肩を掴まれ、髪を掴まれ、


「翠蓮っ!」「皇后様っ!!」


黎祥が焦ったような声を出すけど、天華たちが駆け寄ってこようとするけど、翠蓮はそれを制した。


「私に任せて」


―翠蓮の中からは、怖い気持ちが不思議と消え去っていた。


黎祥から離れたからだろうか。


彼を失うことは少なくともないと、そう思えたからかな。


「―黎祥、お母様たちを連れて、逃げて」


「なっ」


「遊祥が心配なのよ」


微笑んでみせるけど、