「初めて、なのか?」
「そりゃ、そうだよ〜彼女は神様の妻になっているんだって?俺がここに来た時、すでに彼女は髪の妻として、眠りについていた。会えるわけないじゃん?」
「俺は、ってことは、お前の言う"婆さん”は会っているんだな」
「うん。まあねー。だって、彩苑の姉の遺言を彩苑に教えたのは、婆さんだもん」
「……そうだったか。―……そうだったな」
最近、記憶は自分で考えないと思い出せない。
そこにあるのが当たり前というよりも、
すでに奥に仕舞われた、大切なもののように。
「じゃあ、三大賢者は一番の古参は白麗なんだな」
「そうなるね。―ってことで、会ってくる」
「……勝手にしろ」
自分気ままで、何を考えているのか分からない。
そんなヒロセは、何を思って、この世界で生き続けているのだろうか。
そもそも、彼らがわざわざ、この世界に来る理由。
考えたり、聞いたりするのはできるけど、何故か、聞けない雰囲気があって。……余計なことはやめておこう。
人は触れられなくない過去というものは、
多くあるものだ。

