「それは、会うのが楽しみだな」


自分の子供たちは、一体、どれほど大きくなったことだろう。


そんな懐かしい思いに浸かって、微笑していると、


「まぁ……生き残った子供たちは皆、春宵宮に行くように言付けしていた。会った時、殴られようが何されようが、皇帝の黎祥が許してしまえば、貴方は逆らえぬからの」


「翠蘭、君は変わらず、手厳しいね……」


翠蘭ははっきりバッサリ、言ってきたけれど。


懐かしくて、嬉しいんだ。


君は変わらず美しく、そして、変わらず接してくれる。


『怪我、しているの……?』


血塗れで肉親を殺し尽くした祥星を見て、戦き遠ざかる人々の中で、唯一、翠蘭は。


『大丈夫?痛い?』


不思議そうに、手巾を差し出してきたあの幼き日を今も忘れられない。


だから、わざわざ、彼女を自分の許嫁にしたんだ。


(君は私よりも、弟に恋したみたいだったけれど)


当然といえば、当然だった。


けれど、祥星が彼女を許嫁に指名してしまっていたせいで、彼女の家も勿論、乗り気だったし、撤回出来るわけなければ、お人好しな彼女が、祥星と結ばれることを拒否できるはずもなくて……。