(今しか、ないのだ―……)
第六皇子を殺す動き、
そして、それに伴って動く国、
また、妃同士の懐かしい寵愛の奪い合い―……。
後宮では、何も不思議なことではない。
だから、莉玲は死んでしまったのだから。
多くのものが死んでいく中で、また、皇帝が起用したという一人の女性が現れた。
その子を見た時、何故だろうか。
どこかで見たような、懐かしさに安堵した。
彼女がいれば、大丈夫と―……。
案の定、彼女は後宮の出入りを繰り返しながら、現れたり、消えたり、あっちいったり、こっち行ったり……生活の中の至る所に毒が仕込まれていた愛晶は、後宮の中の権力なんて気にもせず、人を助けるために突進してくる彼女を遠ざけるために、『身分の低いものの手に掛かりたくない』と、嘘をついた。
おかげで、彼女は近づいてこなかった。
―それでいい。
流雲だって、彼女の傍だと笑っているらしいから。
第六皇子に、寵姫ができた。
その事にも、安堵した。
子供が出来た。
無事に生まれることを願い、祈祷した。
子供が生まれた。
その子供の未来が幸せに溢れているよう、心から願った。
そして、今。

