「待たせたの、白麗」


優しく、彼女に口付けを落とした。


その光景はとても神秘的で、横に来た飛燕は軽く布で黎祥の額を拭きながら、


「……白麗と、蒼炎はな」


「……」


「儂の、母と父なんじゃ」


「―……うん」


完全に、記憶を取り戻した今なら、驚くことも無い。


小さく頷き、昔、滅茶苦茶、驚いた記憶を思い出す。


「白麗は……異世界より来た人間の中で、死ねなかったものの三人……あと二人はこの国のどこかにいて、この国を見守っていることだろう。白麗は蒼炎と愛し合い、儂を生み出した。翠蓮も知っていると思うが、白麗は蒼炎と交わったせいで、白麗は今や半神となった。でも、最後の戦いの時に……それからずっと眠ってて……でも、契約を結んだ蒼炎が目覚めたのなら、話は別じゃ」


飛燕は白麗の方へ、顔をむける。


すると、ゆっくりと起き上がる影。


何が起こっているのか、翠蓮自身にはわからなかった。


でも、白麗自身は柔らかく笑って。


「―久しぶり、みんな」


まるで、ほんの少し眠っていただけのように。


久しぶりに会った、旧友にするように。


棺から蒼炎の手を借りて降りると、一直線に飛燕の元へ行き、明るく笑いかけて、抱きしめた。