「父上に?兄弟は沢山いたが……同母兄弟は鳳雲様だけだぞ。そうですよね?義母上」
黎祥が柳太后に視線を投げると、柳太后は深く頷いて。
「それが、どうかしたの?」
(もし、あの人が本当にお父様の同母兄弟であったのなら)
「……私、会った」
「え?」
「黎祥のお父様……先々帝陛下と、私、一年ほど前に……」
「……」
勿論、それで驚いたのは黎祥だけではなかった。
「会ったって……?」
「あの人、そんな時期から徘徊していたの!?」
柳太后も驚いた声を上げたけど、注目点が違った。
「あの頃から?」
呆然とした黎祥が、柳太后に尋ねる。
「父上は、生きておられるのですか……?」
黎祥の父親―即ち、先々帝陛下。
彼の生死は、この国にとっても重大事。
「……」
柳太后は戸惑いつつ、そして、躊躇いつつ、口を開く。
「祥星様はいつも、自由な方で……約十一年前、皇位を譲った時も、病気の療養のため、退位したに過ぎなかった」
「……」
「誰もが療養のためだから、出来の悪い勇成が何をしても、先々帝が止めてくれると思っておった。けれど、それが気に入らなかったんじゃろうな。重臣は次から次へと処刑場に送られ、地方へと飛ばされた。母に似ていると言われれば、相手を斬り殺した。他の皇子を王に望んだ者がいても同じ。次から次へと殺して、安心を得ようとした、愚かな子供……」
想像出来る。
愛されたいと、どこかで願い暴れる先帝の姿が。

