「―ええ、構いませんわ。楽しみにしてます」
「フフッ、本当にごめんなさい。私も楽しみだわ」
少し考えた後、笑顔で頷いた呉徳妃。
「呉徳妃、これ、どうぞ」
「流雲殿下……まぁ!綺麗な百合ですわね。ありがとうございます。部屋に飾らせていただきますわ」
そして、流雲殿下から差し出された黄色の百合を受け取ると、呉徳妃は笑顔で、
「あ、あとですね」
「なあに?」
「これも僭越なお願いなんですが……もし、お姉様に披帛や団扇を作ったら、受け取ってくださいますか……?」
見上げてくる。
翠蓮のことを真っ直ぐに見つめる彼女に微笑んで、
「喜んで」
翠蓮は喜んだ素振りで、頷いた。
軽い足取りで去っていく呉徳妃の背中を眺めて、残された流雲殿下と並んで、海棠の元に立つ。
「……名優だね、李皇后」
「……からかうのはやめてください、流雲殿下」
「だって、黎祥に呼び出されたなんて」
「自分の身を守るためです」
「うん。良いね、後宮での生き方が身についてきたみたいだ」
何が面白いのか、流雲殿下は笑ってて。
「それにしても、呉徳妃様は少し干渉し過ぎではありませんか?後宮で唯一、貴女のことを『お姉様』だなんて……」
「呉徳妃は、私の秘密まで知っているもの。灯蘭様と仲もいいのよ」
「そうなんですか?」
蝶雪は、どこか不満げだ。

