「……若琳、先帝陛下が討たれてすぐ、貴女たちは後宮に入ったの?」


そんな翠蓮の質問に、


「いえ……」


首を横に振った、若琳。


「じゃあ、いつ頃?そして、蘭怜様って、今何歳?」


「いつ頃と申されますと……そうですわね。ちょうど、民全体に先帝の死を伝えられた日、後宮用意を本格的に整えられ始めました。私は密偵として、妃となりましたが、そのくらいのときですわ。向淑妃は、事前から別宅にお住みになられていたという話ですから……」


「別宅!?」


「え、ええ……」


「それって、いつぐらいから?」


「そうですわね……」


若琳もさすがにそこまではわからないのか、向淑妃を振り返って。


向淑妃は、


「っ、彼と引き離されてすぐですわ。私の部屋に逢いに来ていた彼に気づいてた父は、とりあえず、彼から私を引き離そうとしたのです」


と、涙ながらに答えてくれた。


「引き離されてすぐ……先帝はまだ、存命ですよね?」


「ええ。父はすぐに、討たれてしまうだろうと。その通りでしたわ。先帝陛下はまもなく、御命を落とされた」


「その時点で、蘭怜様は……」


「五ヶ月くらいです」


「…………そうですか」


ということは、その凄腕の女性は生きているということになる。


でも―……何かが引っかかる。


「若琳」


「はい」


「その女性が亡くなった場所、思い出せる?」


訊ねると、若琳は直ぐに行動に移してくれて。


若琳のおかげでわかった場所は、昔、多くの妃が自ら死んだと言われる場所で、心霊場所としても、有名な場所。


「ありがとう」


お礼を言って、その場所が書かれている紙を握り締める。


次にやることが決まった。