若琳に菊花茶を用意してもらい、それを一応、毒味してもらった後、向淑妃と向かい合わせに座った翠蓮たち。


蘭怜ちゃんは蝶雪たちと遊んでて、若琳は緊張気味に向淑妃の背後に、そして、向淑妃の手はかすかに震えて。


「そう、怯えないでくださいまし」


若琳にも椅子を勧める。


すると、遠慮しようとした彼女だが、翠蓮の微笑みを見ると、大人しくそれに腰を下ろした。


「お茶菓子です」


二人の怯える顔を眺めていると、お茶菓子を出してきたのは天華。


どうやら、こちらへの手土産だったらしい。


「毒の心配はございません。ちゃんと、確認しました」


「天華ってば……私の許可なしでは、ダメって言ってるのに」


「フフッ、どうかお許しを。最近、皇后様は皇子を産んだばかりでしょう?恐れ多くも、命を狙う輩が増えています。お気をつけなさいませ」


天華はそう微笑むと、蝶雪たちの元へ向かって。


なんて言うんだろう。侮れない。


お茶菓子を手に取って口に運んでいると、


「その……皇后陛下……」


「?」


向淑妃は深く、頭を下げてきて。


「……向淑妃?」


それに続いた若琳の表情も冴えず、二人揃って、モヤモヤと悩んでいるんだろう。


そんな大事にするつもりは無いのに。