「それでもこの人生を、お前と再び出会えたことを後悔したくない。何度考えても、私の隣には翠蓮にいて欲しい」


ぎゅっと、息苦しい程に強く抱きしめられて。


「こうして、毎日、お前を抱きしめていたい。寝ても覚めても、最初と最後に見るのはお前の顔であって欲しい。……そう願うのは、わがままか?」


「……っ」


翠蓮は彼の腕の中で、首を横に振った。


わがままなものか。


それくらいの願いがわがままなら、翠蓮の願いは何になるというのだろう。


「お前を手に入れられるのなら、この命も惜しくないよ」


『貴女が手に入るのなら、死んでもいいです』


嗚呼、自分の命より、かけがえのない想いを……


―"愛”と、呼ぶのなら。


「………っ…ぁ」


胸が熱くて、喉がつかえる。


翠蓮は泣き笑いのような表情を浮かべて、


「ずるい……」


力の入らない拳で、黎祥の背中を殴った。


黎祥はそれに笑みを漏らすと、


「愛してる、翠蓮」


優しい、声で。


くすぐるように耳朶に口付けを落とされて、翠蓮は龍衣の袖を握り締めた。


「私も……」


言葉にするのを恐れていた感情を、言葉にしたい。


涙を拭おうとすると、黎祥は頬を撫でてきた。