「父上っ、祥基さんを困らせるのは……」


やっぱりかーーーーーー!!!!!!


祥基は頭を抱えて、項垂れる。


ほんっと、もう……どうして、こんななのか。


「わぁー!!祥基さん、ごめんなさいー!!!」


「いや、うん……もう、いい、なんて言うか……」


しゃがみこんで、不思議そうな彼を―怜世の父を見上げる。


確かに、黎祥にも似ているし…………黎祥?


「……怜世、お前と黎祥は異母兄弟、か?」


「え、ええ、そうですが」


「…………黎祥の父親は、先々帝だったよな」


「はい。だから、先々帝です」


怜世が目を向けた先で、


「何だ、黎祥とも知り合いなのか。―初めまして。一時期、この国を治めていた龍炯帝……黎祥と才伯、いや、怜世の父の淑祥星だ。今は、流星と名乗っている」


「……」


そう、挨拶されても。


「先々帝は、お隠れしたのでは……?」


「ああ、世の中ではそういうことになっているらしいな。おおかた、翠蘭の言葉を……皇太后の言葉を、皆々が解釈し間違えたか、または、勇成が私の存在を消すために言った話だろう」


全然、気にしてない雰囲気の先々帝は、


「病のため、療養していただけなはずなんだがなー」


と、気さくに笑う。