「……怜世?」


名前を呼ぶと、我に返った彼が口元を押さえて。


すぐに、扉を閉めた。


内に閉じ込められるような形になった、祥基たち四人。


麟麗は祥基の服から手を離そうとしないし、


怜世も、何も言えずにいて。


「―あんた、この二人と知り合いですか?」


そう尋ねると、


「…………君たちがどうして、ここにいるかという質問は愚問かなー」


なんて。


「どうしてっ、」


「うんうん。大きくなったな、才伯」


「いや、その名は―……今は、怜世ですから」


「怜世?」


「黎祥がくれた名です」


目を丸くしながらも、怜世の頭に触れる彼。


「やっぱり、間違えてなかったわ……」


麟麗は小さく呟いて、


「あの人、おじい様……」


とんでもない、発言をした。


「…………………………………今、なんて言った?麟」


「直接、話したことは記憶にないけど……おじい様なの。彼」


多分、恐らく、とつけるくらいなら、そうであって欲しいと願う。


けれど、先帝と兄弟だった怜世がこんな反応をしているんだ。


もしや、もしかしなくても。


「―皇宮に、帰らねばならぬ理由ができた」


こっちが、彼のことについて察したと気づいたのか、


「皇太后に手紙を宛てたい。その為の、紙を探している」


急に、帝王の風格を見せてくる。