「その他の商品となると、店に行かなければならないが……無償ではなく、売ることに……」


「ああ、構わないよ。辺境で少し、働いてみたんだ。皆、気さくな良い人達でね。今、懐は潤っている」


にこにこと笑うこの人は、辺境から来たのか……ん?ますます、黎祥と重なっていく。


「しょ、祥基さん……」


その時、後ろから服を引っ張ってきた麟麗。


「どうした?」


「えっ、と、その……」


言いにくそうに、彼を見る麟麗は。


「……私の思い違いというか、そっくりさんだったら、あれなんですが」


どこから調達してきたのか、布を頭に巻き付けながら、コソコソと囁いてくる麟麗。


「ん?」


「あの人、後宮で見た事あります……」


「……は?」


「もしかしたら、もしかしなくても―……」


自信なさげな麟麗が口を開こうとした時である。


「祥基さん!黎から、緊急の手紙―……」


扉が開いて、現れたのは怜世。


黎というのは、黎祥と言うとまずいので、それを誤魔化すために使っている愛称。


また手紙とは、今度はあっちで何があったんだか。


呆れながらも受け取ろうと、手を伸ばす。


「ああ、すまない。わざわざ、ありがとう……って、どうしたんだ。お前も」


手紙を受け取ろうとしたら、その手紙を手放さない怜世。


意図的にではなく、ここにいるとある人物に、目は釘付け状態。