『例え、身体が朽ち果てても、貴女に会いに行きますよ。貴女を一人にすることは出来ませんから』


『えー、本当?』


『彩苑様は、自分の師をお疑いですか?』


『いやいや、フフッ、そうね。蒼覇なら、出来るでしょうね』


幸せそうな、記憶。


そうだ。


きっと、私は。


『―こんにちは』


色んな記憶を見て、座り込んだ翠蓮の横にやっていた女性。


前にもあった、美しい人。


赤い目を細めて、記憶を見上げて。


『約束を破っているのよ?ひどいと思わない?』


と、翠蓮に笑いかけてきて。


『あの人に会いたくて、あの人と「生きる」為に、時を越えてまで、私は生まれてきたのに』


重なる。


彼女の悲しそうな優しい笑顔と、


記憶の中の黎祥の顔が……。


「会いたい……」


思いがけず、零れた一言。


どうしよう。


今、どうしようもなく、貴方に会いたい。


『李翠蓮』


「……はい」


『自らの想いには、正直であれ』


手が伸びてくる。


優しく抱きしめられて、


『……守ってくれる。大丈夫だよ』


優しい声が、耳朶を擽る。


『叡綜も、そばに居るだろう?』


優しい、優しい、子を慈しむ母の声のように。


『過去はとうに過ぎ去った。今のお前が、すべきことをせよ。歩むべき、道を歩め』


「……っ」


『どうせ、一回しかない。……後悔しない、時を刻めよ』


とん、と、突き放される。