(……見つけた)


消されたもの、全てを引きずり出す。


この結果は予想はしていたけど、


実際に、それが真実だと分かってくると、胸が痛い。


どうして、彼女たちはこの選択をしたんだろう。


こういう方法じゃないと、解決できなかった?


(……なんて、考えても仕方がないけれど)


事件の解決に、翠蓮の気持ちなんて必要ない。


必要なのは正しい情報と、安全だけだ。


その他の後付けだって、調べるには膨大すぎるけど、黎祥の力を使えばなんてことないし、後宮内のことだから、そういう件に関しては灯蘭様の力も借りられる。


「……灯蘭様、灯蘭様は調べもの得意ですか?その……お母様とか、信頼できる人に話を聞くだけでいいのですが」


手紙の内容を見て、目を見開いていた灯蘭様は急に尋ねられたことに驚いたのか、戸惑いながらも、


「出来るわよ。……祐鳳付きだけど」


と、協力体制を見せてくれる。


その顔に浮かぶのは、大きな不安。


隠しきれないそれは、何を信じていけばいいのかさえ、疑わせる。


「助かります」


翠蓮がそう微笑むと、 手紙を見て、灯蘭様も衝撃を受けたんだろう。


「……どうして、こんなことになってしまったの」


「……」


「どうしてっ、だって、翠蓮とも仲良くしていたのに……」


灯蘭様はそう悲しんでくれるけど、だから、だろう。


薬師としても、妃としても、四方八方から注目を浴びている翠蓮の傍にいれば、必然的に捜査対象から外れる。


後宮は何がどうなっているかなんて、簡単には理解出来なくて、隣の人が敵かもしれなくて、だからこそ、翠蓮は黎祥の妻になる覚悟が出来ない。


……人を疑って生きていくことが出来ない場所で、育ってきてしまったから。