「危険?……そんなことを今更気にしていても、仕方ないわよ。皇族の結婚なんて、危険が付き物だもの。というか、皇族に生まれた時点で、この身はいつも薄氷の上」


既に理解してます、みたいな顔をする灯蘭様は息をつきながら、お茶を飲んで。


「だからこそ、私は推奨できません」


そんな彼女に詰め寄るように言うと、彼女は。


「フフッ、大丈夫よ。旦那様を夢中させてみせるし」


堂々と、無敵な笑顔を浮かべて。


「そんな、無茶な……」


―恐らく、彼女がこんなふうに言うのは、今、皇宮に持ってこられている、異民族への嫁ぎ話のためだ。


同盟を成立させるには、真公主を与えなければならないんだろうけど……それでも、危険は付きまとうし、幸せになれる可能性は国内の誰かに嫁ぐより低い。


(黎祥のことだし、断るのだと思ってた……)


国のために嫁ごうとする灯蘭様のその姿勢は、とてもすごいと心から尊敬するけれど、それで不幸になるのなら、その道を選んで欲しくない。


「それに、このままだったら、確実に嫁ぎ遅れるし。実質、今も遅れている感じじゃない?」


翠蓮が唐突にこんなことを話し出した灯蘭様の意図に気づいたことに気づいたのか、灯蘭様は笑顔で。