「お前がんな顔すんのは、翠蓮絡みなんだろうが。翠蓮がどうかしたのか?そして、お前は今度は何に傷ついたんだ。……翠蓮は、お前と血筋の繋がりがあんだろ?」
「……だから、何故、そう思うんだ」
「簡単だよ。お前がここにいた頃と似たような現象が、お前に出会う前にもあった。しかも、何度も、何度も……俺の両親に話を聞くと、翠蓮の父の元に翠蓮が産まれる前からな」
「……」
「お前みたいな、赤い目の人間が訪ねてきてんだ。……明らかに、皇族だろうが。暫く、忘れていたことだが……お前が帰り、翠蓮が心揺れている時、翠蓮が後宮に居る時、まるで、狙ったかのように皇族が集まってきた。正式に、お前の妃として入るという話になった途端、また、数名の皇族が訪ねてきた。……何かあるだろ。明らかに」
「……」
翠蓮の父―そうか、やはり、慕われる人だった。
「……私の、」
「あ?」
「私の剣の師匠の師匠……大師匠が、翠蓮の父親だった」
「……」
祥基は黎祥の戦場での二つ名を知っている分、驚きを隠せないらしい。
「おじさん、そんなすごい人だったんか……」
「それだけじゃない。大師匠は、私の叔父だった」
「叔父だと?つまり……皇族だと言うのか」
祥基の問いに、黎祥は頷いた。
間違ってない。
あの人は、黎祥の父親の唯一の同母弟だ。

