【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―

***



「あー、頭痛てぇ。なんで、こんな所をお前みたいな身分のやつが……はぁ、皇族はじっとしてられねぇ性質なのか?なぁ、そうなのか?俺、最近、皇族にしか会ってねぇ気がするんだが?―それで?お前はまた、何の為に……」


尋問みたいになった、久々の再会。


「私にもわからん。阿呆に連れ出されたんだ」


家の端っこで、「すげぇ!」と、声を上げながら、恐らく、ここの商品だと思われる品々を眺めている蒼月は、子供のようにはしゃいでは目を輝かせて。


「なぁ、これなんて言うの?」


と、瓢箪型の筝を持ってきて、黎祥の久しぶりな知人こと翠蓮の幼なじみの祥基に話しかけた。


『……バイオリン』


躊躇いがちに、いや、訝しげに蒼月を見た祥基は西域の言葉で、そう言った。


「ばよりん?」


ちなみに、蒼月は国ともに、西域と関わりはない。


その為、こんな変な発音。


「何だ、お前の友達だと言うから、西域の言葉も話せるのかと思ったが―……違うんだな」


「蒼月は隣国出身、在住者だからな」


ふーん、と、興味なさげな感じで、蒼月の様子を見る祥基。


蒼月はというと、子供みたいに「ばよりんと言うらしい!」とか、飛燕に言って、指で弾こうとする。