「アハハッ、面白いのぉー。何じゃ、儂が神じゃと思うたか」
「思ったって言うか……絶対、そうだろ……」
「そうか、そうか!流石、蒼覇の血を引くものじゃな!」
満足げに笑う青年は、
「儂の名は、飛燕じゃ。……記憶の件、ほんにすまんかったの。あの子達に悪気はないんじゃよ。少ししか……。ほんにすまん。翠蓮への愛が重いんじゃ」
と、黎祥に謝ってきて。
「いや、それは大丈夫だが……翠蓮に密通の容疑を掛けて、極刑という道を、私が選ばざらなくなるようなことはやめてくれれば」
「そのようなヘマはせん。そんなことになったら、その目撃者の記憶を消すから、大丈夫じゃ!」
翠蓮の宮に居る時から思ったけど、
「記憶を消すとか、操るとか、一体……ってか、人間技じゃねぇだろ」
……思ったことを代弁してくれた蒼月は、
「饅頭やるから、話せ」
と、仮にも、神様だと思っている相手を餌で釣ろうとする。
「うむ。気が利くな。この饅頭は好きなのだ」
しかも、釣れてるし。
嬉しそうに饅頭を食べ始めた飛燕は、
「そうじゃ。失わせてしもうた記憶を返しに来たのじゃが……他に聞きたいことはあるかの?」
でかい図体に、小さな饅頭が可愛らしい。
尋ねられて、黎祥はひとつ。