「龍神?」
それは、もしかしなくても、さっきの翠蓮の宮での出来事のことか。
「……そうなのか?」
「いや、俺が聞いているんだけど?」
「龍神って、本当に存在するんですね〜」
「秋遠は見たことねぇの?」
首を傾げる黎祥に突っ込んだ蒼月は、秋遠ののんびりとした口調に目を向ける。
駿希はというと、この状況にワタワタと慌てていて。
「無いですよ。そんな、龍神なんて……父上の儀式には出てくれたみたいですけどね」
「幼かったのか」
「産まれてません」
キラキラとした笑顔でそう返した秋遠の手に、また、違う食べ物。
美味しいのはわかるが、毒味無しはどうよ……と、思いはするが、皇帝である身分で、同じことをしていた黎祥には何も言えない。
「―なんじゃ、ここにおったか」
こんなところまで来て、蒼月は何をしたかったんだろう……とか考えていると、現れた青年。
「……」
「ふむ。その格好、前も思うたが、似合っておるの」
マジマジと黎祥の格好を見て、
「黎祥、こいつの事だ」
と、蒼月には言われる。
「この青年がどうかしたのか?」
「だから、こいつが龍神だろ!?」
「…………そうなのか?」
見上げて、彼自身に尋ねると、
「ブッ……」
青年は吹き出して。