「黎祥の、記憶に干渉したものは誰?」
と、再度、揃ったものに尋ねた。
「……」
「答えないのなら、貴方達を"切る”」
脅し文句とも言えるそれは、彼らを震え上がらせるには充分なものだったらしい。
「っ、僕達だよ!」
―声を上げたのは、二人の少年。
「どうして、こんなことをしたの?」
「……」
「黎祥は大切な人よ。私にとっても、この国にとっても……言ったわよね?」
「っ、だって、そいつは何も覚えてないじゃないか!」
黙りに決め込もうとしたらしいが、翠蓮の鋭い声に、涙声で二人は叫んだ。
「私も、何も覚えていないわ。志輝のことも、貴方達のことも……大切にしようとは思ったけれど、過去の記憶なんて何も無い」
「翠蓮は良いの!」
「どうして?」
「翠蓮は、僕達を……っ、僕達を救ってくれた。君がいない時間はとても長くて、長くて、どうして、死んじゃいけなかったのって思った!!!」
「……」
翠蓮の手が、微かに震えている。
声を震わせる二人は、
「その男はっ、僕達から君を奪った!」
「だから、関わらせたくなかったのに……っ、どうして、いつも、いつも、僕達より、その男と君が先に知り合ってしまうの?どうして、記憶をいじっても、その男はっ、君のことを忘れないの!?」
そう、悲痛にも叫んで。

