「御意」


驚いたように目を見開いて、そして、嵐雪が深く、拝礼した時だった。


「―黎祥ー」


開いた、執務室の扉。


現れたのは、隣国の王。


「少し、いいか?」


商人みたいな軽装をした彼は笑顔で、


「ほれ、お前も着替えろ」


と、宦官を押しのけて、服を投げてきた。


「へ、陛下っ、何をなさって―……」


宦官が慌てたように、声を上げると。


「旅太監だったか?美少年だな、よし、お前も着替えろ!」


「えっ、ちょっ、」


黎祥付きの旅太監―旅駿希(リョ シュンキ)が慌てた声を上げて、引っ張がされそうになる服を押さえる。


「陛下の御前ですよ!?」


「おう。俺も陛下だぞ。隣国の」


「わぁぁぁっ!?脱がせないでください〜っ!」


駿希は顔を赤くして、必死に自分の身を守っている。


また、強引な蒼月(これでも、隣国の王)は大笑いしながら、引っ張って……絶対、遊んでいる。


「やめろ。蒼月」


「ん?」


「大体、急になんだ。私はまだ、政務が……」


「?、少し休ませろって、大臣に頼まれたんだが?」


「はぁ?大臣?」


「おう。陛下にも、御子がお出来になったと。李妃だったか?悪酔(ツワリ)のせいで、宮から出れないとか……今、表はその話題で持ちきりだぞ?」


色んな情報が入ってきて、頭が痛い。