『どうやら、そういうことみたいで』


『え、ええ?』


『生まれたばかりだった三番目の御子の皇子……年功序列でいうなら、ちょうど私の前、第六皇子となるはずだった』


『それが、桂鳳だという気?』


確かに、桂鳳は黎祥より年上だ。


一歳だけだけど。


黎祥は今、二十二。そして、桂鳳は二十三。


だけど、だけど……っ!


『そうだ』


『そうだって……だって、桂鳳は成桂って名前で、先帝の皇太子をしていたでしょ?誰もが言っていたわ、先帝の皇太子は先帝が十八の時の子供で、現帝よりも年上だって……でも、それが桂鳳?先々帝のことが、先帝は嫌いだったんでしょう?どうして、桂鳳が先帝の皇太子になんてなったの?大体、そんなことになっていたら、円皇后は―……』


彼女は先帝を深く愛していて、心酔していた。


(もし、麟麗様より前の子供がいたとしたら、それこそ、問題になるんじゃ―……?)


『円皇后は、何の障害にもならぬ』


『どういうこと?』


『彼女は、先帝の一番でありたかっただけだろう。桂鳳自身が先々帝の子供にしろ、先帝の子供にしろ、桂鳳の母は死んでいる』


けれど、そんな翠蓮の思いは杞憂らしく。