(……ああ、だから)


灯蘭様は、幸せそうなのだ。


きっと、流雲殿下が守ってきたんだ。


麗宝様の、あの冷めた態度も。


観察眼や、流雲殿下への信頼度も、きっと、これらが理由なんだ。


そして、彩姫様の怯えている姿勢も。


一方で、伸び伸びと大きくなった鏡佳様は、彼ら三人に守られてきた。


だから、苦境を乗り越えてきた黎祥以外は自由で、伸び伸びとしていて、常に笑っている。


豹や星は、下町で育ったからなんだ。


少し考えればわかったかもしれないことが、繋がっていく。


翠蓮は、流雲殿下にそれ以上、何も言わなかった。


黎祥のそばにいることを選択できない翠蓮が何を言っても、彼に届く気はしなかった。


「翠蓮……」


戸惑いげに、物陰から杏果達が出てきた。


「大丈夫よ」


彼女たちに微笑んで、最後に流雲殿下の傍に寄る。


すると、翠蓮の背後を見て、流雲殿下は目を見開いた。