「……それで、翠蓮、どうする?」


流雲殿下はある程度把握していたのか、建国者の話や翠蓮と黎祥の関係について聞いても驚いたような素振りはなく、冷静に問いてくる。


だから、翠蓮も切り替えて。


「……前世など、今の私には関係ありません」


と、微笑んだ。


「自分が偉大なる建国者の転生後と言われると、大変恐縮でありますが……飛燕も、飛雪も、飛龍も、紫艶も……神だろうが、龍だろうが、変わらない大切な友達です。白亜や志揮さんとはもっと仲良く、李翠蓮として付き合っていきたいと思いますし、何より、彩苑様の転生後と言われても、私には何の力もありませんから」


「……」


はっきりと、自分の意見を述べる。


例え、父様が皇族だったとしても。


自分の前世が、建国者としても。


翠蓮は翠蓮であって、今の状況も、境遇も、何も変わりはしないから。


「前世(ムカシ)のせいで、現世(イマ)が見えなくなるのは勘弁です。私にとって、現世が歩むべき道ですもの。生まれ変わっても、共に生きていきたいと望まれた彩苑様と蒼覇様には申し訳ないですが……」


そう言いながら、翠蓮は横目で黎祥を見た。


黎祥はただ、穏やかに微笑んでいて、彼も同じ気持ちなんだろうと、勝手に解釈する。